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著:ボールドウィン
訳:斎藤数衛

ジョンは説教師の息子、母の連れ子、父と母の息子の荒くれた弟ロイの兄だった。

 母エリザベスはリチャードという男を愛しジョンを身篭る。
互いに愛し合い将来の不安を感じず幸せな日々を送る。
しかしリチャードは都会の差別と絶望の中で死んだ。
 ジョンを産んでからのエリザベスは人にできるだけ心を開かないようにし
以前とは比べ物にならないほど堕落する自分を認めながら生活するが
同じように愛した男を失ったフローレンスに堕落したもの同士の連帯感を感じ心を許しあう。
エリザベスはその年かさの友人に人に言うことのできなかった今までの鬱憤を一気に吐き出した。

 ある時、フローレンスの弟ガブリエルが南部より姉の住む北部へ来るという知らせがあった。
フローレンスの顔は曇る。
彼女は幼少の頃よりその弟ガブリエルに深い憎しみを覚えていた。
 彼が産まれるまではフローレンスは自由に夢を描いていた。
しかし将来の働き手であるガブリエルは必然的に一家の基準となり
彼女の自由や意思はそれにより縛り付けられてしまう。
彼女はもっと学びたかったがガブリエルが学ぶ為に諦めた。
彼女はもっと着飾りたかったがガブリエルの為に我慢した。
ガブリエルはそれを当然とし、学べる環境でも学ばず遊び呆けていた。
そんな日々に嫌気が差したフローレンスは病気の母と弟を残し北部へ旅立つ。
ガブリエルは絶望した。
姉がいた為に許されていた自由が病気の母により拘束されてしまう。
彼は必死に姉を引き止めたが彼女は振り返りもしないで去って行った。
その後ガブリエルは今まで以上に堕落した。
酒を大いに飲み、女と遊び、どぶで寝た。
そんな日々の中、ある時彼は酒臭い息を吐きながら自分の家が遠くに見える早朝の丘にいた。
犯した罪とこれから犯す罪に彼の心は打ち砕かれその体を小鳥すら囀らない静寂が包んだ。
彼はその瞬間、神に大声で憐れみを請うた。
何度も何度も恐怖から逃れる為に涙を流して悲鳴を上げた。
神は答えなかった。
しかしその時、彼には聞こえた。
母が低く優しく彼の為に祈る声を。

 彼はこの出来事により雄弁な説教師として開眼する。
そして敬謙な信者でフローレンスの旧友デボラと結婚するが
彼曰く「悪魔の働き」により彼の説教を聴きに来た神を信じない女との間に子供を授かってしまう。
ガブリエルは戦慄し、悪魔の仕業だとし、女を罵り、
デボラが貯めていた金を盗み北部へと女を追い払った。
女は彼を恨みガブリエルの罪の証であるロイヤルを産んで死んだ。
妻デボラはガブリエルの行った全てを知っていた。
そしてフローレンスに聖者の行った非道を書き記した苦悩の手紙を送り病の為に死ぬ。

 フローレンスは説教師となった彼を幼少の頃と同じように憎しみの目で見ていた。
いつも武器のようにデボラからの手紙を持ち歩き、彼の本性を決して忘れなかった。
フローレンスの家でエリザベスとガブリエルがはじめて出会ったとき、
彼女はエリザベスに警告の視線を向けたがもう既にそれは遅かった。
エリザベスはガブリエルに救いを見出し、
ガブリエルはエリザベスとジョンに過去の罪を見た。

 エリザベスとガブリエルはこうして出会いジョンの一家が形成される。


 ジョンの一家一人一人の人物像を浮き彫りにしていき
読者にそれを把握させた上でジョンが神に目覚めるまでの
長い長~い一日が描かれている小説なのだけれども
とにかくしつこいほどの心象描写が特徴的だった。
かなり端折ったけど長くなっちゃったよ。
 当時黒人のスポークスマンのようにされていたJ・ボールドウィンだけど、
この作品は翻訳後記にあるとおり実験的なものだったんでしょうね~。
差別や黒人の考えを代弁するかのような黒人作家独特のスタンスではなく、
もちろん根深い差別はちらりと見えるのだけれども
それより何より人間としての考え方に比重を置いているように感じます。
そんでもって先にも述べた通りしつこい。
本当にしつこい。
本当に本当にしつこい。
翻訳によるものなのか判らないけど嫌いな人は嫌いかも。
でも私は宗教のあり方やそれを信じる事の意味を
漠然とですが理解する事ができたように思えます。
なので読める人は読んでみて下さいな。

評価:★★★☆☆

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