著:小松左京
目覚ましのベルが鳴り響く。
いつものように妻ががなり立てるのがおぼろげに聞こえる。
あと10分だけ・・・そう思っていると足音がどんどん近づいてきた。
「牛のように眠りをむさぼれたら」
そう彼は思っていた。
ああ、僕は・・・になりたい。
いよいよしびれをきらした妻が布団を剥ぎ取ったその瞬間、たまぎるような叫び声をあげた。
どうした?とかけた声は言葉にならず奇妙に響く。
彼は”のっそり”立ち上がった。
カフカの変身と同じような始まり方ですが、作中でもそのことに触れており
明らかにそれとは違う事が自分の体に起こっていると主人公は明言しています。
要するに彼は自由に変身を解除でき、また何にでも変身する事ができたのです。
で~まあ、細かくあらすじ言っちゃうとつまんなくなっちゃうと思うんですよね。
しがない小市民のサラリーマンが持った特殊な能力をどう使うか。
そういうお話ですね。
あ、あと笑えます。
シュールレアリスティックな作風です。
SFって時点でそうなっちゃうんですかね。どうなんですかね。
毎日毎日仕事や生活に自分が磨耗されているような気がする方にお勧めです。
因みに私は好きでした。
評価:★★★☆☆
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