著:リチャード・ライト
訳:野崎 孝
J・ボールドウィンが第三の父と呼んだ黒人作家リチャード・ライト自伝的小説。
作中リチャードに友人が忠告するシーンがある。
「お前はなんだってそんななんだ?お前は白人と喋る時まるで黒人と喋っているようだ」
彼には白人よりも何が劣っているのか全く分からなかった。
そして行動に出た。
当時南部に住む黒人達は作家という夢を持つ事すら許されなかった。
例えばそれを友人に話したとすれば頭を疑われる。
彼はジレンマの中心で摩天楼のように聳える壁に耳をひっつけ、
その奥に何があるのか確かめようと努めた。
厚い壁を拳で殴り、優しく語りかけ、裸足で駆け上る。
私にとってこの本は自分の自由さを知れる、そして同時に間抜けさを知れる本だ。
行動欲と好奇心が新芽のように心臓から体の隅々まで頭をもたげてくる。
本当に読んでよかった。
私が生涯を通じて絶対に手放さないであろう本です。
評価:★★★★★
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