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著:A・モラヴィア
訳:大久保昭男

 アゴスティーノには若く美しい未亡人の母がいた。
彼は湖に泳ぎに行く度に男達の羨望の眼差しが母に注がれていると感じ
誇らしく思うと同時に母に幼い憧憬を抱いていた。
 ある時いつものように母と泳ぎにでると若々しく逞しい青年が彼女に手を差し伸べる。
頬を染める母、いつもと違う母に少年は苦々しい気持ちで一杯だった。
それ以上に青年に対しては怒りすら抱いていた。
 それからというもの青年とアゴスティーノと母の三人で湖へ出かけるのが日課となった。
アゴスティーノは何かと理由をつけてそれを断った。
それというのも3人でいると何か自分にはわからない熱い言葉、魔法の呪文を男と女は語り、
まるでアゴスティーノはそこにいないかのように扱われるからである。
 彼の不快感は態度にも露骨に出るようになり、母は彼に平手打ちを与える。
熱い頬を抱きながら脱衣所で泣いているとかくれんぼをする漁師達の子供が入ってきた。
身なりは貧しく荒々しい目つきをした子だった。
 自分とは全く違う彼にアゴスティーノは惹きつけられ彼の世界にその身を投じるようになる。


いや~良かった。
めざめ・反抗の二篇がはいってるんですが「めざめ」はよいですね。
今までのアゴスティーノの揺り動く純粋さとか細さが身を委ねていた現実から逃げ出し、
漁師の子供達の粗野で残酷な現実を知りそして惹かれ、
それにもなじめない自分と衝突する様。
あ~良い。
売ってたら読んでみて下さい。
古本屋ならあるかも。
もしくは大きな本屋でハードカバーならあるかなぁ?

評価:★★★★☆

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