窓から差し込む午後の斜陽に恍惚と涎を垂らさんばかりに呆けていると
薄暗い私の部屋の暗がりからフトアゴヒゲトカゲが出てきました。
彼は私に撫でて貰おうとしているのか体をあっためているのか
全身をピンと天井に向かって伸ばし目を細めています。
寝過ぎで凝り固まった体をベッドから引き剥がしざらつく肌に触ろうとすると
あたり一面に彼の餌のコオロギが飛び跳ねていました。
おぞましい夢でした。
夜の街角で積み上げられた袋。
それだけでそれ以上でもそれ以下でもない。
ならば何故撮ったか。
何故今それを見詰め、何故私は良いなと思い、何故その場所じゃなきゃ駄目なのか。
何故か?
下らない陳腐な悲壮感を顔一面に浮かべマスメディアをこき下ろし
自分が世界で唯一の基準であるかのように振る舞い
社会・文化・国・環境・世界に内包されている自らを省みない。
全体を把握しようと努めない。
"感情"を高く掲げ「これが私だ!」と叫び、
"表現"を隠れ蓑にわかりきった事を人心及ばぬ神のお言葉へと昇華させる。
当たり前の意欲を、創造するという事を足場も無い高みに連れて行く。
伝えたいだけじゃ駄目なんだろうか。
駄目なんだろう。
日々勉強せねば。
写真だけでは伝わらない、心だけでは伝わらない。
あらゆる手段を知り、使い、伝えなくちゃ。
届いて欲しい人がいる、知って欲しい事がある。
それを伝えるにはどうすればいいか模索せねば。
「届け、心。」と映画バベルでもいっていました。
届かなかったけど。
菊池凛子はブラッドピットとファミリーになれたと会見で言っていたのに
映画で一度も絡まなかった事が思い出されます。
ファミリーと恐れずに発言した潔い菊池凛子。
ね。凄いね。
おえん、よ。
いろんな事が。
はぁ~。